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イモビライザーとは?仕組みや判別方法について初心者にも解りやすく解説【動画付き】

投稿日 2020.10.13
更新日 2024.03.22
【目次】

    「お車にイモビライザーは搭載されていますか?」
    スペアキーの作成や鍵の新規作成をするときに、業者からよく聞かれる質問です。普段生活している中で「イモビライザー」なんて言葉はまったく聞かないですよね。ほとんどの人は「イモビライザー」というモノは知らないので、判りませんと回答するのですが、実はこの「イモビライザー」が搭載されているか否かで、鍵を作るときの費用が数倍変わってくるのです。

    今回の記事ではイモビライザーの仕組みと、搭載されているかどうやって判別するのかを、初心者にも解りやすく解説していこうと思います。

    イモビライザー搭載のお車をお持ちの方でカギ本舗に鍵開け・鍵作成についてご質問がある方は、 直接お電話にてお問合せいただくか 以下のサービスページをご確認ください。

    自動車・バイクの鍵作成サービス

     

    イモビライザーとは?

    イモビライザー(Immobilizer)とは、簡単に言ってしまうと、車についている盗難防止装置の一つです。イモビライザーが搭載されている車では、車のコンピュータにあらかじめ登録された鍵以外ではエンジンを始動することができません。

     

    例えば、合鍵屋さんで鍵の形状が全く同じスペアキーを作成したとします。この時イモビライザー搭載車の場合は、ドアやイグニッションの鍵を回すことができても、エンジンを始動することはできません。実際にイモビライザー搭載車でエンジンをかけようとするとどうなるのか、動画でも解説しているので参考にしてください。

    よくある間違いとして、イモビライザーのことを盗難防止アラーム(セキュリティアラーム)のことだと勘違いされている人がいますが、全く異なるシステムです。盗難防止アラームは不正な解錠をすると、大音量でアラームが鳴る仕組みのことで、エンジンの始動は制限していません。

     

    イモビライザーの仕組み

    イモビライザー搭載車では鍵の中に、トランスポンダというIDチップが埋め込まれています。

    トランスポンダ

     

    また、車のコンピュータの中にも、このトランスポンダの情報が登録されています。

    あらかじめ登録されたトランスポンダでのみコンピュータへの認証が通るようになっています。

    イモビライザーの仕組み

    イモビライザー搭載車では、この認証が通らないとエンジンが始動することができません。

    イモビライザーのメリット、デメリット

    イモビライザーのメリット

    イモビライザーを搭載することで、車両盗難のリスクを大幅に低減することができます。ドアを開けっぱなしにして車を放置してしまった場合や、勝手に合鍵を作られてしまった場合に車両の盗難を難しくします。また、イモビライザーによって電気的な認証方法があることで車をプッシュスタートボタンでエンジンが始動できるようになります。

    イモビライザーのデメリット

    イモビライザーを搭載するデメリットとしては、鍵を登録する費用や、スペアキーを登録する費用が一般的な鍵よりも大幅に高くなります。車両のコンピュータに鍵を登録する必要があるため、専用の機材やスキルが必要になるためです。また、物理的な鍵の問題だけでなく、電気的な鍵の不具合が発生する可能性が増えるため、正確なイモビライザーに関する知識がないと従来のイモビライザーが無い鍵よりもトラブルが発生する可能性が高くなります。

    イモビライザーの合鍵は作成できる?

    イモビライザーの合鍵を作ることは可能です。この場合、エンジンがかけられる鍵が一本でも有れば合鍵が作成できます。作成できる鍵の種類として、スマートキー、イモビライザーキー、キーレスキーなどがあります。

    スマートキー イモビライザーキー キーレスキー
    スマートキーの写真 イモビライザーキーの写真 キーレスキーの写真

    イモビライザーが搭載されている鍵の合鍵は一般的な合鍵の作成と異なり、鍵の中に埋め込まれているトランスポンダというチップを車のコンピュータに登録する必要があります。一般的な鍵作成よりも専門的知識が必要になるために費用が大きくなります。車種、年式によって異なりますが、イモビライザーの合鍵作成は以下の金額になることが多いです。

    作業内容 費用感
    イモビライザーなしの合鍵作成 1,000円~2,000円
    スマートキーの合鍵作成 45,000円~80,000円
    イモビライザーキーの合鍵作成 20,000円~70,000円
    キーレスキーの合鍵作成 25,000円~80,000円

     

    イモビライザーが搭載されているか判別する方法

    ディーラーに聞く

    最も確実なのがディーラーにイモビライザーが搭載されているか確認することになります。ただし、中古車で購入した場合や、一度もディーラーに入庫したことがない場合などは、ディーラー側もイモビライザーが付いているか回答できない場合がありますので、ご注意ください。

     

    イモビライザーランプ(セキュリティインジケータ)の有無で判別する

    イモビライザーが搭載されている車には、セキュリティインジケータと言われるランプが搭載されています。セキュリティインジケータは、イグニッションから鍵が抜かれると点滅し、イモビライザーが動作していることを通知してくれます。セキュリティインジケータは、メーター周りに付いていることが多く、以下のような鍵のマークや「SECURITY」といった文字が入ったランプになります。

    イモビライザーランプ

     

    エンジンスタート方式で判別する

    エンジンのスタート方式が鍵を挿さないで始動させるタイプの場合、イモビライザーが搭載されています。具体的には、ボタンを押してエンジンを始動するプッシュスタート方式と、ノブを回してエンジンをスタートするツイストノブ方式の場合、イモビライザーが搭載されています。

    プッシュスタート方式 ツイストノブ方式
    ツイストノブ式

     

    一方、鍵を回してエンジンを始動させる方式の場合、イモビライザーが付いているかは不確実になるため、他の方法でイモビライザーの有無を判別することになります。

    ステッカーで判別する

    イモビライザーが搭載されている場合、イモビライザーのステッカーが貼ってある場合があります。見た目としては、以下のような鍵がかかっているようなマークのステッカーになります。

    イモビライザーのステッカー

     

    車種・年式・グレードで判別する

    車の車種・年式・グレードが分かればイモビライザーが搭載されているかわかる場合があります。ただし、イモビライザーがオプション装備となっている車種に関しては、この方法での特定は難しいです。

     

    鍵の種類で判別する

    鍵の種類によってイモビライザーの有無が分かる場合があります。鍵には以下のような4種類の鍵があるのですが、この中で、鉄鍵の場合はイモビライザーが入っていません。

    また、スマートキーの場合は9割がたイモビライザーが搭載されています。

     

    鉄鍵 柄がプラスチックのキー
    鉄鍵 日産キーレスキー
    リモコンキー スマートキー

     

     

    イモビライザーの鍵をなくした場合は誰に依頼すれば良いか

    イモビライザーの鍵をなくしてしまうと、エンジンをかけることもできず、立ち往生してしまいます。自宅に車があるときに鍵をなくしたならまだ何とかなりますが、出先で鍵をなくしてしまうと目も当てられません。こんな時、イモビライザーの鍵を作成してくれるのは、ディーラーと鍵屋です。ディーラーは車を販売している会社なので、純正の鍵を用意してくれて非常に安心感があります。ただし、ディーラーでイモビライザー鍵の作成をするためにはディーラーに車をレッカー移動しなければいけなかったり、対応までに数日から数週間待たなければいけないことがほとんどです。

    一方で鍵屋に依頼した場合は、現地に鍵屋がやってきてその場で鍵を作成してくれます。ディーラーではレッカー代がかかるのに対して、鍵屋の場合はレッカーが不要になる点もメリットです。料金体系はディーラーと鍵屋で異なるため、急ぎでなければ両方に見積もりを依頼すると良いでしょう。逆に、急ぎで鍵を作りたい場合は鍵屋に依頼した方が圧倒的に早く鍵を作成してくれるため、必然的に鍵屋を選択することになります。

    注意点として、イモビライザーの鍵は一般的な鍵と異なり、トランスポンダ、車のコンピュータ、イモビライザー登録機などの複数の専門知識が必要な技術になるため、対応できる業者が圧倒的に少ないです。イモビライザーの鍵作成を依頼する場合は、必ず「イモビライザーが搭載されているのですが、対応できますか?」と確認しましょう。カギ本舗では国産車のほとんどのイモビライザー対応ができますので、お困りの際はぜひご相談ください。

    一本も鍵がない状態で鍵屋が鍵を作成する時の費用感

    鍵が一本も無い状態の場合は、鍵穴から段差を読んで鍵を作成した後に、鍵を車のコンピュータに登録する必要があります。鍵が一本でもあれば段差を読む作業は不要になりますし、コンピュータへ登録する作業が大幅に短縮できるため、以下の費用よりも安くなります。

    作業内容 費用感
    イモビライザーなしの鍵作成 10,000円~30,000円
    イモビライザーキーの鍵作成 50,000円~80,000円
    スマートキーの作成 50,000円~100,000円
    キーレスキーの作成 50,000円~90,000円

    メーカー、車種、年式によってコンピュータに登録する作業の内容は大きく異なります。最近普及しているスマートキーについては、各メーカーごとにカギ本舗で情報をまとめていますので、自分のお車の情報を確認してみてください。

    イモビライザーの解除方法

    イモビライザーですが、車の電波の範囲内にトランスポンダを置けば認証が通り、解除することができます。電波の範囲は車種によって異なりますが、運転席のみ、もしくはイグニッション周りに限定されていることが多いです。

    また、お客様から稀に「イモビライザー機能なんて要らない!無効にして!」と言われることがあります。しかし、イモビライザーは車のコンピュータに付属されている機能なので、機能自体を無効にすることはできません。

     

    イモビカッターという製品が販売されていますが、これはイモビライザーを無効にするのではなく、イモビライザーを一旦初期化して、全く別のトランスポンダを登録してしまう製品です。イモビカッターでイモビライザーの初期化ができる車種は限られており、必ずしも通用する訳ではありません。また、このイモビカッターを製造、販売、所持することは地方公共団体の条例で禁じられている場合があります。

    (参考:https://www.pref.aichi.jp/police/syokai/houritsu/sekou-kaisei/seian-s/machizukuri.html)

     

    どうしてもイモビライザーの機能を無効にしたい場合

    鍵からトランスポンダを取り出して、イグニッションの近くにトランスポンダやスマートキーを貼り付ける、もしくは埋め込んでしまえばイモビライザーの認証が常に通る状態になり、実質無効にすることができます。
    イモビライザー無効化
    ただし、何かの弾みでトランスポンダがどこかに飛んでいってしまったり、トランスポンダが破損してしまった場合は、イモビライザーの認証が通らなくなってしまい、車が動かせなくなります。

    また、私たちプロの鍵屋は、車種にもよりますが数分でドアを開けることができます。私たちはお客様の車を傷つけないように慎重に作業をしているのですが、車に多少の傷がつくことを覚悟すれば、どんな車種でもほとんどが数分で開けることができます。したがって、プロの車両窃盗犯なども同様に、ドアを開けるだけなら数分で開けることができると考えられます。イモビライザーを実質無効化することはできますが、トラブルのリスクが高まるため、おすすめはできません。

     

    イモビライザーの後付け

    現在ではメーカー純正のイモビライザー以外にも、後付けでイモビライザーの取り付けができるようになっています。メリットとしては、純正イモビライザーと比較して後付けイモビライザーは解析が進んでいないため、後付けのイモビライザーをシステム的に突破して盗難することが難しいことです。

    デメリットとしては、リレーアタックやコードグラバーでは、電波そのものをそのままコピーされてしまうため効果は少ないことです。また、ECU、イグニッション、燃料コントロールの配線に割り込ませて後付けするため、配線周りに詳しい人間ですと、装置自体を取り外されて無効化されてしまうことがあります。

     

    イモビライザーの弱点

    イモビライザーはあくまでもエンジンの始動を制限する装置です。そのため、ガラス窓を割られたり、鍵をピッキングで開けての車上荒らしには効果がありません。また、レッカー車での車両盗難には効果がありません。

     

    また、最近ではスマートキーを対象にした「リレーアタック」や、「コードグラバー」という機器を用いた手法の盗難被害が増えています。「リレーアタック」はスマートキーなどから出されるトランスポンダの情報を別の場所まで中継して車を開けてしまう手口です。

    実際にリレーアタックによる盗難がニュースになっている動画が以下になります。

    (参考:TBS NEWS)
    このリレーアタックという手法は車を使わないときは、電波を遮断するケースにスマートキーを入れておき、車を使うときだけスマートキーをケースから取り出して操作すれば対策をすることができます。しかし、次に紹介する「コードグラバー」という手法だと、電波を遮断するケースに入れていても車を盗まれてしまいます。

     

     

    コードグラバーは、車が開け閉めするときに発している微弱な電波を解析し、スマートキーの信号を複製してしまう機器になります。リレーアタックでは、スマートキーの電波を中継して車に送信していたので、電波を受信したタイミングでしか車の操作ができませんでした。しかし、コードグラバーではスマートキーの電波を解析・保存されてしまうため、近くにスマートキーがなくても一度電波を受信されてしまえば、いつでも車を操作することができてしまいます。

    リレーアタックもコードグラバーも、車両側は正規の手順で解錠、エンジン始動をされたと判断してしまうため、盗難防止アラームなども作動しません。

     

    イモビライザーを付けることで、知識の少ない車両窃盗犯から車を守ることはできますが、それだけではイモビライザーの知識が豊富な車両窃盗犯からは車を守ることができません。そのため、イモビライザーだけでなく、盗難防止アラームや、そもそも貴重品を車内に置かない、カメラの設置、ハンドルロック、タイヤを物理的にロックする、車内にGPSを設置するなどの複数の防犯対策をすることが重要です。

    イモビライザーが登場した当初は、イモビライザーが搭載されていれば防犯は完璧だということで、保険会社がイモビライザーが搭載されている車には保険料の割引が適用する制度などがありました。しかし、現在はイモビライザーも突破できると徐々に認知され、保険料の割引制度を採用する保険会社は減ってきています。

     

    まとめ

    イモビライザーについてまとめてみましたが、いかがだったでしょうか?仕組みや、判別方法が分かることで、自分の車にどういった防犯システムが搭載されているのか理解が深まったと思います。また、イモビライザーの弱点についても解説したとおり、イモビライザーは万能な防犯機能ではなく、複数の防犯対策をすることでご自身の車を守ることに繋がる事が解ったかと思います。イモビライザーの特性を理解し、皆さんの大事な車を守れるよう活用していきましょう。

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    藤原

    カギ本舗で作業員、兼作業員の教育を担当をしている藤原です。 皆さんの鍵のトラブルをいち早く、安心して解決できるよう取り組んでいます。日本ロックセキュリティ協同組合が検定をしている錠施工技師の3級認定技術資格者。

    よくあるご質問

    Qセキュリティアラーム(盗難防止アラーム)が付いている車には、イモビライザーが必ず入っていますか?
    いいえ。セキュリティアラームのみ付いている場合もあれば、イモビライザーのみ付いている場合もあります。 もちろんセキュリティアラームとイモビライザーがセットで付いている場合もあります。
    Qイモビライザーがついていれば防犯は完璧ですか?
    いいえ、イモビライザーの知識がある人間には突破される恐れがあります。 また、ピッキングで車両の中のものを盗難されることは防げませんし、レッカーなどで物理的に車両を盗難される場合は、イモビライザーだけでは対応できません。
    Qイモビライザー用の鍵を使っているのにエンジンがかからず、イモビライザーランプが点滅したままです。どうすれば良いでしょうか?
    スマートキーの場合は、スマートキーの電池が切れてしまっている可能性があります。電池を交換してみましょう。 鍵式のイモビライザーの場合は、車両本体のバッテリーが充電されているか確認しましょう。また、ハンドルロックで鍵が回っていないだけの可能性もあるので、ハンドルを左右に揺らしながら鍵を回してみましょう。 上記を試してもエンジンがかからない場合は、コンピュータかトランスポンダが破損している可能性があるので、ディーラーに相談してみましょう。
    Q作業に来てもらいたいのですが、新型コロナウィルスへの感染が心配です。 カギ本舗では何か対策を取っていますか?
    出社時の検温と、訪問時のマスク着用を徹底しております。 また、体調が悪い作業員は出社しないようにしておりますので、ご安心ください。
    Q高速のパーキングで車の鍵を紛失しました。パーキングまで来てもらえますか?
    はい、パーキングへの出張も可能です。

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