【サムターン回し】やり方や対策方法など　侵入の痕跡は残るのか

鍵を何処かに置いてきてしまって家に入れない！なんとかして家に入る場合に、サムターン回しという方法を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。外側から物理的に鍵を無理やり開ける技術ですが、泥棒の侵入手口なので一般の人がおいそれとやるべきものではありません。今回はサムターン回しとはどのような手口なのか、防犯上の対策についてご紹介します。

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サムターンとは？

サムターンとはドアの内側についている、水平な形をしたつまみです。サムターンが縦になっていれば解錠中、横になっていれば施錠中です。ドアの内側から簡単に施錠できるので、非常によく使われています。

サムターンはシリンダー錠とセットになっており、ドアの外側には鍵穴があります。シリンダー錠は鍵穴からぴったり合う鍵が差し込まれると回転が可能になり、鍵を開けることができる仕組みです。つまりドアの外側から開けるのが鍵、内側から開けるのがサムターンです。そして、サムターンは触れることさえできれば誰でも簡単に開けることができます。

 

サムターン回しとは？

サムターンは触れれば開けられるため、物理的にサムターンに届けば外からでも解錠できてしまいます。外から無理やりサムターンに触れて解錠するのがサムターン回しです。

とにかくサムターンに触れられればいいので、中にはかなり強引な方法もありますし、ドアについている設備が突破口になることが多いです。ここからは実際にどのようなサムターン回しの手口があるのか見ていきましょう。

 

サムターン回しの手口

サムターン回しは物理的にサムターンに触れる方法なので、侵入者はなるべくサムターンの近くからアクセスしようとします。つまりドアに開いた隙間を活用したり、時には物理的にドアを破壊することもあります。多いのは大体４パターンです。

 

ドアポストから鍵を開ける

ドアポストはドアについた穴といえるので、侵入者に狙われやすいポイントです。流石にそのまま手を突っ込むのは難しいですが、バールなどの器具で破壊したり穴を広げることで器具を挿入したり手を伸ばすことが可能になります。

器具でドアポストを破壊するのはそれなりに音がしますし、もし見かけた人がいれば不審な動きですので、侵入者にとってのリスクは「中」くらいです。

 

ドアビューア(ドアスコープ)から鍵を開ける

来訪者を確認するためのドアビューアを取り外して、その穴から細い器具を入れてサムターン回しをする手口があります。ドアビューアはペンチやドライバーなどを使えば外側から外すことが可能です。

ドアビューアを取り外して細い器具を挿入しドアを開けるのは、目撃者がいれば不審に思われますが、作業の段階ではそれほど音がしません。侵入者にとってのリスクは「小」です。

 

ドアの隙間から鍵を開ける

ドアと壁の間に隙間がある場合があり、そこに薄い器具を挿入できてしまうこともあります。また、小さな隙間をてこの原理で広げて、器具を挿入することもできます。防犯機能が高い家であれば全く隙間がない構造が増えていますが、古い住宅はこの方法で簡単に開けられるのは珍しくありません。

ドアの隙間からサムターンに触れられれば、音はほとんどしません。また、解錠まで時間もかからないため、目撃リスクも低いです。侵入者にとってのリスクは「極小」です。

 

ドアにドリルで穴を開けて鍵を開ける

以上のような隙がドアに見当たらない場合、サムターン回しを行うにはドアに穴を開けるしかありません。ドアノブの近くにドリルで穴を開けるという方法がよく使われます。

ドアにドリルで穴を開けるのは大変大きな音がします。また目撃されれば確実に不審者ですので、侵入者にとってのリスクは「大」です。この方法は、ドアが木材等で開けるのに時間がかからないこと、また周囲のリサーチが済んでおり、人がいない時間がわかっている場合に行われます。

 

自分の家にサムターン回しは効く？

自宅がサムターン回しによって侵入されるリスクがどの程度あるか確認してみましょう。全ての家にサムターン回しは有効ですが、ドアの形状によってサムターン回しのしやすさは変わります。

 

ドアポストやドアスコープがついているか

ドアポストやドアスコープがついている=侵入経路と判断されます。ただし、取り外しができない防犯仕様のドアスコープだったり、破壊が難しいようにガードで補強されているドアポストは、手間がかかったり大きな音が出るため侵入者からは敬遠されるはずです。

 

ドアに隙間が開いていないか

ドアに隙間が空いていればサムターン回しのかっこうの標的です。ただし、内開きタイプのドアであれば外側に対しては開くことが物理的にできないので、隙間を作ってサムターンにアクセスする対象外になります。また、ドアの隙間を塞ぐようなガードプレートが入っていればサムターン回しの難易度は格段に上がります。

 

ドアスコープ、ドアポスト、ドアの隙間、サムターンガードなど対策は完璧

全ての隙を完全に排除した場合、侵入者の最終手段はドアに穴を開けることです。前述したように大きな音がして目立つのでできれば避けたい方法ですが、ハイリターンと判断されれば被害を受ける可能性はあります。ドリルで穴を開けることが多いですが、鉄扉の場合はガスで焼き切る方法も使われます。

 

 

サムターン回しは自分で出来る？

サムターン回しは素人が簡単にできるものではありません。サムターンに器具が当たっているか見えないので、手から伝わる感覚を頼りに作業をする必要があります。この感覚を身につけるためには経験が必要ですが、泥棒でもない限り現場で練習をすることもできませんから、自分でサムターン回しをするのは不可能です。

 

さらに一般の人はサムターン回しに使う器具を持つことはできません。「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」によれば、特殊開錠用具の所持の禁止、指定侵入工具の携帯の禁止、特殊開錠用具の販売・授与の禁止が定められています。ネット上にはサムターン回し用の器具を販売している業者がいますが、業務で利用する等正当な理由がなければ購入するだけで罪になります。所持や携帯しているだけで１年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金。販売側は2年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、もしくはその両方が科されます。

 

参考：特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律 – 警察庁

https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_b/b_a_1.html

 

サムターン回しの対策方法

サムターン回しでの自宅への侵入はどのように防いだら良いのでしょうか。基本的にはサムターンに届かないようにする、サムターンを回せないようにする事を目指すことになります。

 

サムターンカバーを使う

サムターンカバーはプラスチックやアクリル材質でできており、サムターンの周りを覆うカバーです。器具を作った隙間から突っ込んでもカバーによってガードされるため、うまくサムターンを回すことができなくなります。また、サムターン回しを試みる際にサムターンカバーに器具が当たって物音が響き、通報されたケースもあるようです。

サムターンカバーは市販されてますし、ペットボトルや空き缶を自分で加工して作ることもできます。ただし、物理的に砕いたり焼き切るといった強引な手法だと突破されてしまうことがありますので過信は禁物です。

 

ドアポストカバーを使う

ドアポストカバーはドアポストの内側につけることで外から覗かれないことを目的とした製品ですが、サムターン回し防止にも役立ちます。現在多くのドアはドアポストの内側にはドアポストカバーや郵便ボックスがあるはずですが、目隠しなし、郵便受けなしのドアポストも古い住宅にはあります。該当する場合はドアポストカバーを設置するようにしましょう。

 

防犯ドアスコープを使う

普通のドアスコープはドアの外側からでも隙間にコイン等を入れて強引に緩めて外すことができます。外した穴からサムターン回しの器具を挿入されてしまうのです。

防犯ドアスコープは空転式の製品が多いです。これなら外側から緩めようとしても空回りしてしまいドアスコープを外すのに時間がかかるため、空き巣は諦め易くなります。

 

鍵穴を増やす

警視庁の空き巣の被疑者に行った調査によれば「侵入に５分以上かかる家は諦める」との回答が７割に上ったといいます。つまり、いくらサムターン回しが物理的に可能な家であっても作業が多い家はそれだけで防犯効果が高いということです。

だから、鍵穴が多いのはそれだけで有効な防犯対策になります。一つのドアに２箇所鍵をついている家は侵入者からは嫌がられます。

 

防犯対策されたサムターンを使う

サムターン自体を高機能な防犯対策仕様の製品に変えるのも有効です。一般的なサムターンはシンプルに回せば空きますが、防犯仕様のサムターンでは回す以外の動作を組み合わせないと、サムターンが動かせないようになっています。例を挙げると、スイッチを押しながらでなければ回らないスイッチ式の防犯サムターン、サムターンに鍵を挿したままでないとサムターンが空転する空転式の防犯サムターンなどがあります。

 

サムターン回し対策でオススメの防犯サムターン

どの防犯サムターンが取り付けられるかは、既存で付いている錠前の種類によって変わってきます。現在日本の一般的な住宅ではMIWA社製とGOAL社製の錠前が付いている事が殆どです。そのため、MIWA社の錠前に適合するオススメの防犯仕様のサムターンをご紹介します。

 

MIWA社製の錠前が付いている場合

・脱着式サムターン

・KABAセーフティサムターン

 

【オススメの理由】

脱着式サムターンの場合はサムターン回しで動かすサムターン自体を取り外すことが出来るため、サムターン回しは効きません。また、KABAセーフティサムターンでは、室内側のサムターンも鍵で操作でき、操作をすると空転モードのオンオフを切り替えることができます。サムターンを回しても空転するだけなので、サムターン回しは効きません。

 

 

GOAL社製の錠前が付いている場合

・TME型防犯サムターン

・TMK型防犯サムターン

 

【オススメの理由】

GOAL社製の錠前が付いている場合はGOAL社純正のTME型、もしくはTMK型防犯サムターンがオススメです。この2つのサムターンは空転モードのオンオフを切り替えることが出来るため、空転モードをオンにしておけばサムターン回しは効きません。

 

その他のメーカーの防犯サムターン

他にもU-Shin ShowaやWESTなど、住宅の鍵メーカーはいくつもありますが、錠前の種類によって取り付けできる防犯サムターンが異なっています。自分の鍵の種類をインターネットなどで特定し、防犯サムターンを探してみると良いでしょう。防犯サムターンの商品ページには適合する錠前が記載されている事が多いので、そちらを参考にすると良いでしょう。

 

サムターン回しされた事に気付ける？その他の侵入方法も説明

サムターン回しは被害にあったことに気付けるのでしょうか。またサムターン回し以外に警戒すべき侵入方法にどのようなものがあるのかご紹介します。

 

サムターン回しの痕跡は？

サムターン回しを行う際にドアの破壊が行われていれば当然痕跡は残ります。また、破壊まではいかなくともドアの隙間などからサムターン回しをした場合など、金属の擦り後など、何らかの傷がついていることもあるでしょう。ただし、ドアスコープを外してサムターン回しをした場合は、侵入後に元どおりドアに装着してしまえば気づかない可能性は高いです。また、ドアの隙間からサムターン回しを行う等、ほとんど痕跡が残らない場合はあります。

ドアスコープ周辺、ドアポストやドア自体の見慣れない傷があれば侵入を疑ってもいいかもしれません。

 

その他の侵入手口

実はサムターン回しのような特殊技術や器具が必要な侵入方法は、実際の空き巣被害ではそれほど多くありませんし、年々減少傾向にあります。侵入方法としてはどのような手口が多いのでしょうか。

参考：令和２年の刑法犯に関する統計資料

https://www.npa.go.jp/toukei/seianki/R02/r02keihouhantoukeisiryou.pdf

 

無締り

単純にドアに鍵をかけていない、窓の鍵が空いているなど無締りは空き巣の侵入方法として最も多いものです。痕跡も残らないので侵入者にとってのリスクも非常に低いです。令和2年の空き巣の認知件数は約14000件ですが、5700件程度が無締りによる被害です。

 

ガラス破り

ガラス破りはガラスをガラス切断機で切ったり単純に割って侵入する方法です。無締りに次ぐ約5000件が記録されています。痕跡は残ってしまいますが、素早く室内に侵入できる方法です。

 

合鍵

合鍵は住人と近しい関係の人間が侵入する際に利用されます。元恋人などだけでなく、来訪した業者が玄関側に置いてあった鍵をこっそり盗み、そこから合鍵を作成するケースも。また鍵番号を入手し、メーカーに本人のふりをして発注するという方法もあります。痕跡が一切残らない侵入方法です。令和２年は851件が記録されています。

 

特殊工具関係

ドア錠破りサムターン回しは特殊解錠工具関係という分類になります。令和2年は57件が記録されており、他の方法と比べて非常に少ないのが現状です。特殊技能、特殊器具が必要な方法のハードルの高さを物語っています。ちなみに10年前の平成23年は329件が記録されており、防犯意識の高まりや対策製品の発達により年々難しくなっている手口といえます。

 

ドア錠破り

ドア錠を破壊して侵入する手口です。確実に痕跡が残るのでなりふり構わない侵入方法といえます。令和２年は314件が記録されています。

 

戸外し

サムターン回し以外の侵入手段と対策戸を取り外して侵入する手口です。引き戸タイプの入り口で使われます。都心ではあまり見ることがないタイプの引き戸ですが、古い家屋や田舎だとまだまだ見かけます。令和２年は88件を記録しました。

 

サムターン回し以外の侵入手段と対策

侵入者が最も好む侵入手段はスムーズに侵入でき、かつ痕跡が残らない方法です。このような空き巣にとってリスクの少ない侵入方法から順番に防犯対策を行っていくのが良いでしょう。

例えば無締りはドアや窓の施錠忘れなので、施錠を促す環境を作ることが大切です。例えば施錠を忘れた場合にアラートが鳴ったり、外出時に自動施錠するスマートロックシステムの導入、窓が開けっぱなしの場合にアラームが鳴るなどの防犯製品を設置する等が考えられます。

 

合鍵に関しては、鍵番号が見えないように目隠しをするのが有効です。また、そもそも鍵を作成する際にセキュリティカードという登録証が交付されるタイプのものを選ぶ方法もあります。この場合、合鍵を作る場合はセキュリティカードとセットでないと作ることはできません。

 

また、鍵を紛失してのちに見つかった、警察に届いた場合も、念のため交換するのが無難です。もしかしたら家の鍵を取って合鍵を作られた後に、犯人がしれっと近くに落としておいたのかもしれません。

 

まとめ

サムターン回しは非常に難易度が高い侵入方法といえます。もし自分で家の鍵をなくしてしまって中には入れない場合も、素人ではまず無理です。賃貸であればまずは大家や管理会社に連絡して指定の鍵サービスを呼んでもらうようにしましょう。また、持ち家の場合は２４時間対応している鍵屋に連絡して、すぐ来てもらえないか相談するのが一番早い解決方法です。

カギ本舗ではあらゆる住宅の鍵のトラブルに対応しており、24時間365日受け付けております。他社では対応不可だったケースでも当社であれば解決可能ですので、まずはお問い合わせください。