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火災保険・賃貸契約に付帯する“鍵トラブル駆けつけサービス”の仕組みと注意点

投稿日 2025.06.15
更新日 2025.06.17
火災保険・賃貸契約に付帯する“鍵トラブル駆けつけサービス”の仕組みと注意点のアイキャッチ画像
【目次】

    賃貸住宅で暮らす中、玄関の鍵をなくしたり鍵が開かなくなったりすると大変不安になります。特に夜遅く帰宅して鍵を紛失した場合など、どうしていいか途方に暮れる方も多いと思います。

    そんなとき、「火災保険に鍵のトラブル対応サービスが付いているらしい」と聞いても、具体的にどう利用すれば良いのかわからず戸惑う人は少なくありません。実際、賃貸物件では火災保険や24時間サポートに鍵開けのサービスが含まれているケースがあります。

    本記事では、火災保険や賃貸契約に付帯する「鍵トラブル駆けつけサービス」の仕組みと注意点について解説します。鍵のプロの視点も交えながら、「本当に無料で使えるの?」「どんな対応をしてもらえるの?」という疑問に答えていきます。不安な気持ちを少しでも軽くし、いざという時に冷静に対処できるようサポートします。

    また、家に入れないで駆けつけサービスが利用できない方は「家に入れない!家の鍵が無い時の4ステップ対処法」の記事で対応方法をご紹介しています。

    鍵トラブル駆けつけサービスとは?

    鍵トラブル駆けつけサービスとは

    火災保険の付帯サービス

    火災保険では、加入者向けの付帯サービスとして水回りや鍵のトラブルに対応する「暮らしのサポート」サービスがセットになっている場合があります。いわゆる鍵の緊急駆けつけサービスもその一つで、玄関鍵の開錠や簡単な修理などを迅速に行ってくれるものです。契約内容にもよりますが、30分程度の作業なら無料で対応してもらえるケースが一般的です。

    賃貸契約の24時間サポート

    賃貸物件の場合、火災保険とは別に不動産会社独自の「24時間緊急サポートサービス」に加入していることも多いです。これも鍵トラブル時に駆けつけてくれるサービスで、入居時の重要事項説明などで案内されていることがあります。火災保険のサービスか不動産会社のサービスか、どちらが利用できるのか契約時に説明を受けているはずなので、まずは手元の契約内容を確認しましょう。

    サービスの目的

    これらの駆けつけサービスは、入居者が突然の鍵トラブルで家に入れない・安全に暮らせないといった事態を一時的にでも救済することが目的です。費用面の負担を軽減し、迅速な対応で安心を提供するための“保険の付加サービス”と言えます。実際に鍵を開けたり修理したりするのは提携する専門業者ですが、費用の一部または全額を保険会社等が負担してくれる点が大きな特徴です。

    駆けつけサービスの仕組みと利用方法

    駆けつけサービスの仕組みと利用方法

    誰が来てくれる?

    駆けつけサービスを利用するとき、実際に現場に来て対応するのは保険会社やサポート窓口と提携している鍵の専門業者(鍵屋さん)です。保険会社に連絡すると、あらかじめ契約している専門の鍵業者が手配され、自宅まで派遣されます。保険会社の社員が来るわけではなく、プロの鍵師が対応するので技術面は安心できます。私たち鍵業者も、保険会社経由の出動依頼を受けて駆けつけることがよくあります。

    サービス利用の手順

    鍵トラブル発生から解決までの一般的な流れは次の通りです。社宅や管理会社経由の場合もありますが、基本的な手順は似ています。

    1. 契約内容の確認:まず、自分の加入している火災保険や24時間サポートに鍵の駆けつけサービスが含まれているか確認します。保険証券や入居時の案内資料に専用の連絡先が記載されているはずです。また、賃貸物件のエントランス付近にサポートセンターの電話番号が載っていることが多いです。
    2. 連絡・受付:保険会社の事故受付窓口やサポートセンターに電話します。「鍵を紛失して家に入れない」など状況を伝え、鍵の駆けつけサービスを利用したい旨を伝達します。受付担当者からいくつか本人確認や契約確認の質問があります。
    3. 業者の手配:受付後、提携する鍵業者が手配されます。オペレーターから「◯◯鍵サービスという業者が向かいます。到着まで○○分程度です」などの案内があります。到着時間は場所や状況によりますが、早ければ30分前後で来てくれることもあります。深夜や地域によっては1~2時間かかる場合もあります。
    4. 鍵業者の到着・本人確認:駆けつけた鍵業者から玄関先で本人確認書類の提示を求められます。運転免許証など顔写真付きの身分証で、その住所に住む正当な入居者であることを確認してから作業開始となります。万一証明できない場合は、管理会社や警察官の立会いが必要になるケースもあります。
    5. 解錠作業の実施:鍵師が玄関の解錠作業を行います。一般的なディスクシリンダー錠なら数分で開くこともありますが、防犯性の高いディンプルキーなどでは特殊工具で時間がかかることもあります。破錠(壊して開ける)せざるを得ない場合は事前に説明があります。
    6. 費用精算・後処理:作業が完了した時点で、保険会社の負担範囲内であればその場での支払いは不要です。例えば「開錠のみで完結し、30分以内で終了した」場合などは基本無料になります。一方、鍵の交換が必要・作業時間超過など保険適用外の費用が発生した場合は、その場で業者から追加費用の見積り説明を受けます。納得できれば自己負担分を支払い、保険会社への請求手続き(必要に応じて領収証提出など)に進みます。盗難など被害による鍵交換の場合は後日、保険会社とのやり取りで保険金が支払われるケースもあります。

    その場で解決しない場合

    開錠後に鍵自体の交換や修理が必要なケースでは、引き続きその業者に作業を依頼できる場合があります。ただし交換作業は保険の補償対象外(自己負担)になることが多いため、費用について十分説明を受けてから判断しましょう。無理に高額なシリンダーを勧められた場合は、いったん保留して別の業者に見積りを取ることも検討してください。駆けつけサービスはあくまで応急対応が中心である点を踏まえ、必要に応じてその後の対応を決めることが大切です。

    無料で受けられる条件とサービス利用時の注意点

    無料で受けられる条件とサービス利用時の注意点

    鍵の駆けつけサービスを利用する際には、「本当に無料になるのか?後で高額請求されないか?」と不安になりますよね。以下に、サービスが無料適用される主な条件と、利用時の注意ポイントをまとめます。契約によって細かな規定は異なりますが、一般的に押さえておきたい点です。

    • 作業時間の上限:駆けつけサービスには一度の対応につき作業時間○○分程度まで無料といった上限があります。例えば「30分以内の軽作業は無料」という保険が多く、これを超える作業時間分は自己負担となります。特殊な鍵で開錠に時間がかかりそうな場合などは、開始前に所要時間の目安と超過料金の有無を確認しておきましょう。
    • 年間利用回数の制限:無料サービスとはいえ年○回までなど利用回数の制限があります。典型的には「年1回までは無料、2回目以降は有料」や「年○回まで無料で、それ以上は自己負担」といったルールです。何度も鍵トラブルを起こす人は多くありませんが、イタズラ被害などで繰り返し利用する可能性もあります。年度内にあと何回使えるか、事前に保険会社に確認しておくと安心です。
    • 対象となる作業内容:基本的に玄関の解錠や応急的な修理が無料サービスの範囲です。ドアノブの緩み調整簡単な部品交換鍵穴の経年劣化による不具合などは無料対応されることがあります。一方で防犯強化のための自主的な鍵交換はサービス対象外です。あくまで突然発生した事故・トラブルに対処するサービスであり、「古くなったから最新の鍵に替えたい」といったリフォーム的な依頼は対象になりません。
    • 盗難・紛失時の条件:鍵を盗まれた場合は火災保険の盗難補償などで鍵交換費用が補填されるケースもありますが、警察への被害届提出が必須です。保険金請求時に受理番号の提出が求められるため、まず警察に通報してから保険会社に連絡しましょう。一方、鍵の紛失は本人の過失と見なされ保険金の支払いは対象外ですが、緊急駆けつけサービス(解錠作業無料)の利用は可能な事が多いです。紛失の場合も後から鍵が見つかる可能性があるため、鍵交換まで保険でカバーされることは基本的にありません。
    • 利用時の連絡手順:鍵トラブル発生時は必ず保険会社または提携サービス窓口に直接連絡して手配することが重要です。焦って自分で近所の鍵業者に依頼してしまうと、後から保険金が下りず全額自己負担になる恐れがあります。保険会社経由で紹介された業者以外に依頼した場合、原則サービスの適用外となるので注意してください。
    • 契約プランの確認:火災保険の商品によっては、このような駆けつけサービスが付帯していない場合もあります。特に安価な賃貸保険などは緊急駆けつけサポート非対応のケースがあります。加入中の保険やサポート契約に鍵のサービスが含まれているか、日頃から確認しておきましょう。
    • 本人確認書類の準備:前述のとおり、当日は運転免許証などの本人確認書類の提示が必要です。開錠サービスを悪用した不正を防ぐため、どの業者でも身分証の提示なしでは解錠してもらえません。スムーズな対応のためにも、いざという時すぐ提示できるよう身分証は手元に保管しておくと安心です。

    鍵のプロが見た駆けつけサービスの実態(体験談)

    鍵のプロが見た駆けつけサービスの実態

    実際に鍵業者として現場対応していると、駆けつけサービスに関して以下のような相談例やエピソードによく遭遇します。

    ケース1:深夜の対応時間

    ある深夜、鍵を紛失して家に入れなくなったお客様から「保険の駆けつけサービスに電話したけれど、『到着まで2時間ほどかかる』と言われ不安なので直接来てほしい」と依頼を受けたことがありました。保険経由の提携業者は地域や時間帯によっては到着が遅れる場合があります。こちらの案件では、弊社が30分ほどでお伺いできる場所だったので対応させていただきました。中に子供が閉じ込められているなど、どうしても急がないといけない理由がある際は、他の鍵業者119番などに相談するのも重要です。

    ケース2:無料範囲を超えた追加費用

    別のお客様では、「保険の鍵開けサービスを使ったけれど、防犯性の高い鍵だったため追加費用が発生した」という相談もありました。お客様は「結局自分で全部払うなら、最初から鍵屋に頼んでも同じだったのでは」と不満気でした。このようにサービスの適用条件を超えると有料になる点を理解していないと、後から戸惑うことになります。

    こういった駆けつけサービスを利用する場合は、高額請求をするような業者が来る心配が無く、割安でサービスを利用できると予め考えておいた方が後々納得しやすくなります。

    ケース3:サービス未加入だった例

    中には「困って保険会社に電話したら、そもそも契約中の保険には鍵の駆けつけサービス自体が付いていなかった」という方もいました。その方は賃貸入居時に火災保険は加入したものの、緊急サポート特約には未加入だったため、自費で鍵業者を探すことになったそうです。幸い大きなトラブルには至りませんでしたが、「自分の保険で何がカバーされているか知らなかった」と後悔されていました。日頃から契約内容を把握しておく大切さを実感したエピソードです。

    こうした現場の経験から言えるのは、駆けつけサービスはあくまで応急対応の補助だということです。サービスの存在を知らずに損をしたり、逆にサービスに期待しすぎて思わぬ費用負担に驚いたりするケースもあります。鍵のプロの立場から、お客様には「サービス内容を正しく理解した上で上手に活用してほしい」と感じています。

    鍵トラブル駆けつけサービスは積極的に活用を

    鍵をなくした、鍵が開かない…そんな突然のトラブルに直面したとき、火災保険や賃貸契約に付帯している「鍵の駆けつけサービス」は、まず頼るべき選択肢のひとつです。状況によっては、無料で迅速に対応してもらえる可能性があり、費用面でも精神的にも大きな支えになります。

    もちろん、サービスの内容には利用条件や制限がありますが、保険会社やサポート窓口に連絡することで、正規の提携業者が手配され、トラブルを安全に解決する体制が整っているのは大きな利点です。「ぼったくり業者が来たらどうしよう」「知らない鍵屋に頼むのは不安…」という方でも、駆けつけサービスを通じて依頼すれば、そうしたリスクを回避できます。

    実際に現場では、「もっと早く駆けつけサービスの存在を知っていればよかった」とおっしゃる方も少なくありません。費用も抑えられ、対応の品質も一定以上が担保されるため、鍵のトラブル時にはまずこの制度を思い出してほしいと思います。

    とはいえ、深夜や混雑時などで「提携業者の到着が遅れる」といったケースでは、状況に応じて信頼できる鍵業者へ直接依頼するという選択も視野に入れておくと安心です。大切なのは、トラブル時に慌てず、安全かつ納得できる形で問題を解決することです。

    そのためにも、日頃から保険内容や契約サポートの範囲を把握しておき、いざという時には駆けつけサービスを積極的に活用する準備をしておくことが大切です。駆けつけサービスは、あなたの暮らしを支える心強い味方。いざという時に落ち着いて行動できるよう、ぜひ今一度、自分の契約内容を確認してみてください。

    火災保険や賃貸住宅の鍵駆け付けサービスが使えなかったというかたはカギ本舗にご相談ください。カギ本舗では全国で住宅の鍵開けサービスを提供しております。防犯性の高い鍵が付いていたとしても様々な特殊解錠で幅広い対応が可能です。

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    藤原 正徳

    カギ本舗で作業員、兼作業員の教育を担当をしている藤原です。 鍵業界で7年間(2025年時点)活動をしており、皆さんの鍵のトラブルをいち早く、安心して解決できるよう取り組んでいます。日本ロックセキュリティ協同組合が検定をしている錠施工技師の3級認定技術資格者。

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