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ディンプルキー合鍵作製ガイド:特徴・作り方・費用・注意点

投稿日 2021.07.01
更新日 2025.05.24
ディンプルキーは複製・合鍵できる?費用や時間等について5分で解説
【目次】

    ディンプルキーとは?特徴と一般的な鍵との違い

    ディンプルキー

    一般家庭で使われる鍵には、片面だけにギザギザが刻まれたピンシリンダーキーや、両面がギザギザのディスクシリンダーキーなどがあります。これら一般鍵は構造が単純で、ホームセンターや鍵屋で手軽に合鍵を作成できます。一方、ディンプルキーは表面に凹凸(ピンホール)があり、鍵先は丸い形状が多いのが特徴です。内部のピンが立体的・多重に組み合わされており、ピッキングが難しいため防犯性が非常に高いのがメリットです。ただしその複雑な溝構造のため、合鍵作成には高度な技術と専用機材が必要になります。

    ピンシリンダーキー

    ピンシリンダー

    片側にしか刻みがない一般的な住宅用鍵。住戸やマンションで広く利用されている。

    ディスクシリンダーキー

    ディスクシリンダー

    両面に刻みがある鍵。古い建物で見られるが、近年は新築で採用されない傾向にある。

    ディンプルキー

    ディンプルキー

    鍵の表面に穴や窪みがある高性能キー。複雑な構造により、ピッキングや複製が難しい反面、技術力の高い加工機でないと合鍵が作れません。

    ディンプルキーの合鍵は作れる?作れない?仕組みと条件

    結論としては、ディンプルキーでも合鍵は作成可能です。ただし、鍵の種類(登録制か否か)や状態によって作成方法が異なり、場合によっては作れないこともあります。

    登録制ディンプルキーの場合

    メーカーによる登録制度があり、合鍵を作るにはメーカーへの発注が必要です。鍵を購入した際にセキュリティーカードや会員登録をしていないと、鍵屋では合鍵を作れません。メーカーへは、会員情報やセキュリティーカード、身分証明書、鍵本体に刻印されたシリアル番号などを提出して発注します。

    セキュリティカード

    登録制でないディンプルキーの場合

    鍵屋(合鍵専門店)に依頼してその場で作成してもらうか、刻印されたキー番号を基にメーカーに発注します。どちらの場合も高度な精密加工が必要となるため、一般的なホームセンターや量販店では対応できないことがほとんどです。

    合鍵を作れないケース

    すべての鍵を失くし、鍵穴から複製することは不可能です。鍵本体に刻印された番号が不明な場合はメーカー発注もできず、最終的にシリンダー交換が必要になります。また、登録制キーでセキュリティーカードを紛失した場合も、メーカーでも合鍵が作れない場合が多いとされています。

    ディンプルキーを複製する場合は、まず上記の条件を確認しましょう。鍵屋でも「対応できるか」を事前に問い合わせることが重要です。

    合鍵の作り方・費用比較(鍵屋、メーカー、ホームセンター)

    ディンプルキーの合鍵は専門の鍵屋メーカー発注で作成できます。一般的な鍵屋では専用のカットマシンでその場で複製でき、通常15~30分程度で仕上がります。費用はおおむね2,000〜6,000円程度が目安です。鍵屋によって料金に差はありますが、これには加工費用や鍵種別の違いが反映されています。

    • 鍵専門店(合鍵屋):専用機材を使い即日作成可能。合鍵作成代は数千円(目安2,000~6,000円)で、メーカー純正キーをベースにするため精度が高いです。ただし高精度を要するディンプルキーは、対応できない店舗もありますので事前確認が必要です。
    • 鍵メーカー(発注対応):ホームセンターや鍵屋で作れないキーは、刻印番号をもとにメーカーに発注します。メーカー純正キーが届くため信頼性は高いですが、納期は2週間~1か月程度かかることが一般的です。費用は鍵の種類にもよりますが、こちらもおおよそ2,000~6,000円前後であることが多いです。
    • ホームセンター:一般のギザギザキーなら合鍵サービスを利用できますが、ディンプルキーの合鍵作成にはほぼ対応していません。ディンプルキー専用の高額機材が必要なため、多くの量販店・ホームセンターでは受け付けていません。
    依頼先 費用感 納期
    鍵専門店(合鍵屋) 2,000円~6,000円 15分~60分
    鍵メーカー(発注対応) 2,000円~6,000円 2週間~4週間
    ホームセンター 対応不可な場合が多い

    以上のように、ディンプルキーの合鍵を作成するには鍵専門店またはメーカー発注が基本です。ホームセンターでの作成は原則不可能と考えましょう。

    PRキー・PSキーなど特殊ディンプルキーの注意点と作成難易度

    PRキーPSキーは、MIWA(美和ロック)の高性能ディンプルキーシリンダーです。以前はMIWA社が特許(特許第4008302号)を保有していたため、街の鍵屋や量販店での合鍵作成は法律上禁止されていました。現在は特許期間が切れたため理論上は複製可能となっていますが、MIWA自身が「非常に精密な製品」であると説明している通り、複雑な鍵山パターンと高い精度が要求されます。そのため、これら特殊キーの合鍵作成ができる鍵屋は限られており、専用の高性能カッティングマシンを持つ業者でないと対応が難しい状況です。対応業者が見つかれば合鍵の製作は可能です。鍵をその場で削ってもらう事ができますが、メーカーに依頼するよりも費用が高額になるケースが多いことに注意してください。誤差が0.05mmでも鍵が回らなくなるほど精度が厳しいため、メーカー純正の合鍵を使う方が安全です。

    ※カギ本舗ではコンピュータ制御のマシンで合鍵を作成しており、PRキー、PSキーの合鍵も作成可能です。PRキーは30分~60分程度、PSキーは30分前後で作成しております。

    合鍵作成時の注意点(純正キー・賃貸物件・登録制など)

    ディンプルキーの合鍵作成では、以下の点に注意しましょう。

    純正キーから作成する

    合鍵をさらに合鍵から作ると加工誤差が蓄積し、鍵が回らなくなる場合があります。特にディンプルキーは精度が高く求められるため、必ずメーカー純正の元鍵(マスターキー)から合鍵を作成してください。純正キーは鍵の柄部分にメーカー名や英数字が刻印されています(一般の合鍵には「GSS」「TLH」「G&S」などの刻印があることが多い)。

    鍵番号(刻印)を確認する

    鍵本体に刻印されたキー番号(シリアル)が分かると、メーカーに発注して正確な合鍵を作成できます。番号が不明な場合はメーカーも対応できず、鍵穴(シリンダー)の交換が必要になることがあります。

    登録制キーか確認する

    前述の通り、登録制キーはメーカー登録やセキュリティカードが必要です。鍵を受け取る際にカード類が付属していないか思い出し、登録制でないか確認しましょう。登録制キーの場合、本人確認を経てメーカーでしか合鍵が作れません。

    必要本数+予備1本を基本にする

    合鍵は必要最低本数に予備1本をプラスした数で作るのが理想です。純正キーは1本はそのまま自宅で保管し、その他を日常用にすることで、予備の純正キーが摩耗せず、万が一鍵を紛失しても純正キーから再度合鍵が作れます。合鍵を過剰に作りすぎると、誰かに持ち出されたり管理が煩雑になったりするリスクがあります。

    賃貸物件の場合の確認

    賃貸住宅で合鍵を勝手に作るとトラブルになることがあります。必ず大家さんや管理会社に事前に相談し、許可を得てから作成してください。特に緊急性の高い事情の場合は、必要理由と本数を説明すれば認めてもらいやすくなります。

    以上を守り、慎重に合鍵作成を進めましょう。

    代替案:スマートロックや鍵交換も検討する

    スマートロック

    物理的な合鍵を増やす以外の方法として、スマートロック電子錠の導入も有効です。スマートロックや電子錠はスマホアプリやカード、テンキーで開錠でき、既存の錠前に後付けできる機種が多く発売されています。これにより物理キーを増やさずに鍵を共有・管理でき、アプリ上で合鍵(電子キー)を発行することも可能です。特にディンプルキーの合鍵作成に不安がある場合は、玄関の鍵ごと電子錠に交換する選択肢を検討してみるとよいでしょう。

    スマートロックや電子錠については「【電子錠】玄関の鍵に工事せずに後付け可能 自分の家に合った電子錠の選び方」の記事でも詳しくご紹介しています。

    まとめ

    ディンプルキーについてまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。ディンプルキーは複製が難しいことが分かっていただけたと思います。かといって鍵が足りなければ鍵を複製せざるをえないので、きちんとディンプルキーの特性や注意点を気にしつつ鍵を複製しましょう。

    ギザギザの鍵に比べてディンプルキーの防犯性は非常に高いです。必要な鍵の本数さえ揃えば防犯性が高く、鍵の強度も高いため多くのメリットがあります。ディンプルキーを上手く活用して、家の防犯性を高く保つようにしましょう。

    カギ本舗でもディンプルキーの合鍵作成やディンプルキーへの交換は対応しておりますので、どうすれば良いか分からない、相談をしたいという方はご連絡ください。

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    ※本ページの情報は、ディンプルキーの合鍵作成に関する一般的な知識と最新の状況をもとに作成しています。状況によって対応が異なる場合もありますので、必ず専門店やメーカーへ事前確認をお願いいたします。

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    藤原 正徳

    カギ本舗で作業員、兼作業員の教育を担当をしている藤原です。 鍵業界で7年間(2025年時点)活動をしており、皆さんの鍵のトラブルをいち早く、安心して解決できるよう取り組んでいます。日本ロックセキュリティ協同組合が検定をしている錠施工技師の3級認定技術資格者。

    よくあるご質問

    Q鍵屋でディンプルキーの合鍵作成はできますか?
    ディンプルキーの合鍵作成に対応している鍵屋は限られます。専用の機材が必要なため、すべての鍵屋が対応できるわけではありません。事前に店舗に電話で問い合わせて「ディンプルキーの合鍵作製が可能か」を確認すると安心です。もし店舗で対応していない場合でも、鍵に刻印された番号が分かればメーカー発注で作成できます。
    Qディンプルキーのスペアキー作成費用はいくらですか?
    キーの種類や店舗によりますが、一般的には約2,000円~6,000円程度が相場です。外国製や特殊キーではこれより高くなることがあります。最寄りの鍵屋で見積もりを取るとよいでしょう。
    Qディンプルキーを全て失くしてしまいました。鍵穴から鍵を作製することはできますか?
    いいえ、鍵穴から直接合鍵を作ることはできません。鍵本体に刻印されたシリアル番号が分かればメーカーに発注して純正キー(合鍵)を作成できます。もし番号も不明の場合は、玄関のシリンダーごとの交換が必要になります。鍵購入時の書類や写真などに番号が載っていないか確認してみてください。
    Q登録制のセキュリティカードを紛失してしまいました。合鍵は作れますか?
    基本的には登録制ディンプルキーのセキュリティカードが無いと合鍵作成できないケースが多いです。ただし、お客様が「セキュリティカードだと思っていたもの」が他の書類であった例もあるため、一度メーカーに相談することをお勧めします。
    Q鍵に刻印された番号から合鍵を作れますか?
    はい、鍵の刻印番号(シリアルナンバー)をメーカーに伝えれば、同じキー(メーカー純正のスペアキー)を取り寄せることができます。この場合も国内メーカー製の鍵であれば対応可能です。海外メーカーなどで対応できないものもあるので、まずは電話などでお問い合わせください。
    Qホームセンターでディンプルキーの合鍵は作れますか?
    一般的にホームセンターではディンプルキーの合鍵作成には対応していません。ディンプルキーは専用の高精度機器が必要なため、多くの量販店やホームセンターではサービス対象外です。ディンプルキーの合鍵を希望する場合は、鍵専門店への依頼かメーカー発注を利用してください。
    Qスマートロック導入のメリットは?
    スマートロックや電子錠を使えば、物理キーを増やさずに玄関の開錠管理ができます。スマホやカードで解錠でき、アプリで電子キーをシェアできる製品も多いです。ディンプルキーの合鍵作製が難しいときは、鍵交換の代わりにこれらを検討すると、鍵の利便性と防犯性を両立できます。

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