ドアバー・ドアチェーンは無意味?玄関防犯の勘違いとプロが教える限界
【目次】
「家にいる間はドアバーやドアチェーンをかけているから安心」
そう思っている方は多いはずです。
しかし、鍵の専門家や防犯の現場を知る人間の視点から言えば、これらは決して「侵入を防ぐための鍵」ではありません。
実は、ドアバーやドアチェーンは、外側から紐や輪ゴムなどの日用品を使って簡単に解錠できてしまう脆さを持っています。また、物理的な強度についても、私たちが期待しているほどの防御力は備わっていないのが現実です。
筆者は警察が部屋に突入するための鍵開け案件に立ち会ったことがありますが、その際、ドアバーは専用の金属カッターによって数秒で破壊されていました。
プロの道具と技術の前では、ドアバーやドアチェーンは「障害物」としてすら機能しないことがあるのです。
では、私たちは何を信じて玄関の防犯を強化すべきなのか、ドアバーとドアチェーンのそれぞれの弱点と、本当に頼るべき対策について解説します。
ドアチェーン、ドアバーは「防犯のための鍵」ではない

まず知っておくべきなのは、ドアチェーンやドアバーの本来の目的です。これらは「防犯のための鍵」ではなく、あくまで「来客確認用の補助具」です。
防犯に向かないのはなぜ?
驚かれるかもしれませんが、一般的なドアチェーンやドアバーは、外側から「身近にある日用品」を使って、わずか数十秒で外されてしまうリスクがあります。
具体的な手法は防犯上の理由で伏せますが、特別な訓練を受けた人間でなくても、ネットで調べればすぐに出てくるような単純なトリックが存在します。
また、ドアバーやドアチェーンは2本~3本のビスでドアに固定されているだけなので、バールでのこじ開けなどで簡単に開けることが可能です。
つまり、ドアバーやドアチェーンだけで侵入を完全に防ぐことは不可能なのです。
やってはいけない!「チェーン越し換気」の危険性
最近、防犯意識と衛生意識の両立からか、ドアを少し開けてチェーンをかけた状態で「換気」をする人が増えています。しかし、これは非常に危険な行為です。
- 隙間は「弱点」になる: ドアが少しでも開いていれば、外側から解錠用の紐や工具を差し込むスペースを与えてしまいます。
- 強引な突破のリスク: ドアバーの場合、一定の角度まで開いていると、強い衝撃で台座がネジごと引きちぎられてしまうこともあります。
- 防犯意識が低いと判断される:泥棒は捕まるリスクを避けるために下見をしてから犯行をします。ドアバーやチェーンをしただけで換気をしている家は防犯意識が低いと判断され泥棒のターゲットになる可能性があります。
「チェーンをしているから、少し開けていても大丈夫」という思い込みが、最も危険です。
明日からできる!玄関の防犯力を高める4ステップ
では、どのように対策すれば良いのでしょうか?
ステップ①:ドアバー、ドアチェーンを過信せず主錠を閉める
基本中の基本ですが、在宅中も必ずメインの鍵をかけましょう。「チェーンをかけているから、鍵は後でいいや」という油断をなくすことが第一歩です。
ステップ②:主錠の防犯性を高める
主錠が玄関の防犯性の要ですが、肝心の主錠の防犯性が低い場合、鍵穴をピッキングなどで開けられてしまう恐れがあります。
現在はディンプルキーや自動施錠機能の付いた電子錠などが多く発売されているため、防犯性の低いシリンダーがついている場合はディンプルキーや電子錠に交換してしまいましょう。

シリンダーの交換については「鍵のシリンダーを交換したい!交換方法や3つの注意点についてご紹介」の記事でもご紹介しています。
ステップ③:ガードプレートを取り付ける
ドアの隙間を隠すガードプレートという製品があります。
ガードプレートを取り付けることで、ドアが施錠されているか一目で判断が付かなくなるため、万が一施錠忘れなどがあった場合でも泥棒のターゲットにならない可能性が上がります。
ステップ④:非接触・置き配の活用
見知らぬ訪問者が来た際、ドアを開けて対応する必要はありません。
ドアスコープやモニター付きインターホンで確認し、荷物は置き配を指定するなど、「そもそもドアを開けない」運用を心がけてください。
まとめ:防犯は「意識のアップデート」から
ドアチェーンやドアバーは、あくまで「ドアを数センチだけ開けて相手を確認するため」の道具です。
それ以上の防犯性能を期待するのは危険だということを、まずは認識しましょう。
住宅の防犯の要は主錠です。主錠の防犯性を高め、きちんと主錠を施錠するように心がけましょう。
「自分の家だけは大丈夫」と思わず、今一度、玄関のセキュリティを見直してみてください。
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