落雷・停電時に家から締め出された時の対処法/電気錠の鍵開けについて

【目次】
近年、戸建て住宅を中心に電気錠が普及してきました。それに伴って、落雷などによる停電で電気錠が停止してしまい、家から締め出されてしまう人も増えています。こういった場合、非常用の物理キーで鍵を開けるのが良いのですが、物理キーを持ち歩いていない人も多くいらっしゃいます。
こういった場合、無理やりドアをこじ開けようとするとドア自体を破損してしまうリスクが高いため、鍵屋に依頼して開けてもらうと良いです。ただし、電気錠が付いている住宅では防犯性の高い鍵が付いていることが非常に多いため、鍵を壊して開ける作業になってしまう事が多いです。
鍵を壊して開けると鍵交換費用もかかってしまうため、利用者にとっては手痛い出費になります。しかし、窓のクレセント錠(引き違い窓に付いている鍵)を開ける工具を持っている業者に依頼をすれば、鍵や窓を壊さずに無傷で家を開けることが可能です。
今回の記事では停電時に締め出された方向けに、トラブル解決までのアドバイスや、なぜクレセント解錠が良いのか業者の選び方など、具体的な解決までの道筋をご紹介しています。なお、カギ本舗ではクレセント錠の解錠に対応しているため、とにかく急いで開けたいという方はお電話でご相談ください。(📞0120-657-999)
電気錠と電子錠の違いを理解しよう
落雷などで鍵が動かなくなるリスクですが、電気錠と電子錠で大きく異なります。まず、「電気錠」と「電子錠」という言葉の違いを整理しましょう。電気錠は家屋の電源と配線につないで動作する鍵で、電子錠は電池によって動作する鍵を指します。したがって、電気錠は停電時や配線トラブル時には電力が途絶えて使えなくなりますが、電子錠は電池式のため停電しても基本的には影響を受けずに動作可能です。
落雷による雷サージが発生すると、電気錠ではブレーカーが落ちたり内部基板が破損してしまい、鍵が反応しなくなるケースもあります。実際に「落雷で一瞬停電し、玄関ドアの電子錠パネルが故障して動かなくなった」という事例もあり、その修理に約20万円もの費用が発生しています。一方、電池駆動の電子錠は落雷による停電では故障しにくいものの、直接雷が命中するような極端なケースでは電子部品がダメージを受ける可能性はゼロではありません。
重要なのは、「電気錠=停電で使えなくなる」「電子錠=停電では基本大丈夫」という点です。落雷や停電で家に入れなくなるトラブルは主に「電気錠」を採用した住宅で発生します。一般の戸建て住宅では近年こうした電気錠が採用されることも増えてきました(2000年以降に普及が進みました)。そのため、ご自宅の鍵が電気錠なのか電子錠なのかを把握しておくことが大切です。電気錠の場合は非常時に備えて物理キーを携帯しておくよう心がけましょう。
非常用の物理鍵で開けられるか確認
電気錠には非常用のシリンダー鍵穴が付いているタイプが多くあります。停電などで電気錠が使えない場合でも、この鍵穴に対応する非常用の物理鍵を使えば開けられる仕組みです。まずお手元にその非常用キーがあるか確認し、あれば鍵穴に差し込んで開けてみてください。リモコンで開けるタイプの電気錠なら、リモコン内部に非常用の物理キーが入っていることが多いです。
また、停電中でも室内側からサムターン(室内つまみ)を回せば解錠できます。しかし、外にいる状態ではサムターンを直接回せませんので、結局は非常用キーを使うしかありません。
セコムなどのホームセキュリティを導入している場合は、物理キーを預けておけるサービスに加入している事もあるため、もし加入していた場合は活用しましょう。
ポイント: 日頃から非常用物理キーを持ち歩く習慣をつけましょう。LIXILなどの大手サッシメーカーの公式案内でも「万が一の事態に備えて、停電時でも使える手動キーを携帯するようにしてください」と注意喚起されています。非常用キーが手元になく家の中に置きっぱなしだと、停電時には文字通り家に入れなくなってしまいます。
もし非常用キーを紛失していたり、家の中に置いたままでどうしても手元にない場合は、無理にこじ開けようとせず次の対処法に進みましょう。
無理やり開けるのは禁物
鍵が開かないからといって、自分で無理やりこじ開けようとするのは危険です。特に電気錠が付いているような玄関の鍵は防犯性能が高く、素人がピッキング(鍵穴に工具を差し込んで開ける手口)を試みても開かないものが大半です。特に2000年以降に普及した多くのシリンダー錠はピッキング対策が施されており、プロがピッキングをしても開かない製品が多いです。
また、特殊開錠用具の所持を一般人に禁じる「ピッキング防止法」が2003年に施行されており、鍵屋以外の人が開錠用の特殊工具を所持すること自体が法律違反となります。解錠工具を使わずに素人が鍵を開けようとすれば、出来得る手段は窓ガラスを割ることになりますが、これには危険と損害を伴います。窓ガラスを割ると破片でケガをするリスクや、雨風の吹き込みによる室内被害がありますし、窓ガラスを交換する費用は鍵開けを業者に依頼する費用よりも数万円高くつく事が多いです。近年では、防犯ガラスなども普及してきているため、ガラスを割る事自体が難しい場合もあります。
要点: 鍵をなくしたり停電で開かないからといって、自力でドアや窓を壊すのは避けてください。玄関ドアは頑丈にできているため、下手をすればドアやフレーム自体を歪めてしまい、数十万円単位の修繕費がかかる恐れもあります。まずは焦らずに専門の鍵業者に連絡し、正規の方法で解錠してもらうのが確実で安全な対処法です。
電気錠の鍵穴からの開錠が難しい理由
停電時に電気錠が動作しない場合、鍵業者は物理的に解錠を試みることになります。しかし、電気錠を採用している玄関ドアには防犯性の高いシリンダー錠が組み合わされていることがほとんどです。実際、「電子錠(電気錠)が付いている玄関では、鍵穴も簡単に開けられないタイプが付いている場合が多い」と鍵開け業者が説明しています。具体的には、美和ロックのU9シリンダーやディンプルキーなど、ピッキング耐性が強化された鍵が標準装備されているケースが多いのです。こうした鍵は鍵穴からの不正解錠が極めて難しく、鍵屋でもピッキングでは開錠できないことがあります。
もう一つの非破壊解錠手段として「サムターン回し」が考えられます。これはドアの隙間や郵便受け、ドアスコープ(のぞき穴)やドアポストなどから特殊工具を差し入れ、内側のサムターン(つまみ)を直接回して解錠する方法です。集合住宅などの場合はドアスコープやドアポストが付いていることが多いため、サムターン回しで非破壊解錠が可能な事が多いです。しかし、戸建て住宅の玄関ドアの場合、ドアスコープやドアポスト自体が無いことが多いです。電気錠が付いている物件は戸建て住宅が多いことから、サムターン回しが通用しないことが多いです。
以上の理由から、戸建ての住宅の場合は玄関の鍵穴から非破壊で開錠するのは非常に難しいといえます。鍵業者であっても、防犯性が高い玄関では玄関からの解錠を断念せざるを得ない場合があります。その際に残る手段は鍵穴を破壊して開けるか、後述する窓からの解錠かの二択になります。
鍵穴を壊すと鍵交換費用もかかる
玄関のシリンダー鍵穴をドリルなどで破壊すれば確実に開錠できますが、その後のコストと手間を考えると極力避けたい方法です。鍵穴を壊して開けた場合、当然ながら鍵そのものを交換しなければなりません。ディンプルキーなどの防犯性の高いシリンダー錠は製品単価も高く、交換には部品代と工賃を合わせて1箇所あたり数万円の費用がかかります。さらに戸建て玄関では上下2つの鍵穴が付いていることも多く、両方とも破壊開錠すると交換費用も二倍近くになります。トータルで10万円前後の出費となるケースも珍しくありません。
例えば、先述の落雷で電気錠が故障した事例では電子錠システムの修理に約20万円がかかったことに触れました。これは電子錠本体の基板交換などを含む費用ですが、これに加えて解錠とシリンダー交換でさらに10万円近く費用が発生し得ると考えてください。特にディンプルキーや高性能シリンダーの破錠+鍵交換では1個あたり3万円~5万円、物によってはそれ以上するものもあり、シリンダー2個交換で手痛い出費になります。
費用面だけでなく防犯面の懸念もあります。鍵穴を壊す開錠方法を取った場合、一時的に玄関の鍵が施錠できない状態になります。交換部品の在庫がすぐあればよいですが、取り寄せになればその間玄関の防犯性が大きく低下してしまいます。夜間や悪天候時に作業を行う場合、ドリル破壊の音が近隣への迷惑になることも考慮しなければなりません。鍵屋も「夜間は騒音の関係で破壊開錠作業ができない場合がある」と事前に案内するほどです。
以上のように、玄関の鍵穴破壊は最終手段です。費用・時間・防犯リスクの観点から、お客様にとっても業者にとってもデメリットが大きいため、他の方法が取れるならそちらを優先します。その「他の方法」の代表格が次に述べる窓のクレセント解錠です。
窓のクレセント解錠が最も有効な解決策
引違い窓には写真のようなクレセント錠が付いており、この錠は窓枠同士を噛み合わせて施錠するシンプルな構造です。引違い窓は建付け上わずかな隙間が生じるため、その隙間から特殊工具を入れて室内側からクレセント錠を操作すれば、ガラスを割らずに外部から解錠することが可能です。これを鍵業界では「クレセント解錠」と呼びます。
玄関の高性能なシリンダー錠を壊すより、窓のクレセント錠を開けて家に入る方が圧倒的に低コストかつ非破壊で済みます。実際に弊社で紹介する事例でも、戸建ての玄関解錠のご依頼では、玄関のディンプルキーがピッキング不能だったため「掃き出し窓のクレセント錠を専用工具で開錠し、室内に入ってもらって玄関を開けた」ケースが多いです。窓から侵入して内側から玄関を開けるという方法になりますが、自宅に正式に入れてしまえば電気錠のブレーカーを上げ直すなり、故障の状況確認をするなり、次の対応に移ることができます。
クレセント解錠のメリット
鍵穴破壊のような交換費用が発生しないため費用面でも安く済むことが多いです。一方で、この方法には高度な技術と専用工具が必要です。窓ガラスを傷つけずにクレセント錠だけを開けるには職人技が求められるため、対応できる鍵業者は限られているのが実情です。クレセント解錠に対応できない業者に依頼すると、「玄関のハイセキュリティ鍵を壊して開ける」以外手段がなくなり、結果として鍵交換まで含め出費が増えてしまう可能性が高くなります。
カギ本舗ではほとんどの引違い窓のクレセント解錠に対応可能です。専用の豊富な工具を取り揃えており、極力お住まいを傷つけない解錠方法を追求しています。実際、窓の鍵を開けられる業者でないとハイセキュリティな鍵は壊して開ける羽目になりがちですが、カギ本舗なら窓経由で開錠できるためお客様の負担を減らせます。
クレセント解錠の詳しい方法や費用については、当社の別記事「窓の鍵は外から割らずに開けられる?クレセント錠を開ける方法や費用について説明」で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
なお、2階以上の高所にある窓の場合はハシゴや高所作業が必要になるため難易度が上がります。またシャッターが閉まっている窓も外から工具を入れられず、この方法が使えません。そうした場合は玄関の破壊開錠を検討せざるを得ないこともありますが、それでも可能な限りまず窓から開けられないかを検討する価値はあります。特に1階部分に掃き出し窓や勝手口ドアがある戸建てでは、玄関以外の侵入口を確保できる可能性が高いです。
信頼できる鍵業者に依頼しよう
落雷や停電で家に入れない緊急事態に陥ったら、早めに信頼できる鍵業者へ連絡することが肝心です。鍵開けのプロであれば現場状況に応じてベストな開錠方法を判断し、無理・無駄のない手順で対応してくれます。とはいえ、「数千円~」とサイトに書いてあるのみで、現地に来たら数十万円の料金を提示するような業者も存在します。依頼先を選ぶ際は次の点に注意しましょう。
- 非破壊開錠の実績: 防犯性の高い鍵でも、できる限り壊さず開けてくれる業者を選びましょう。サムターン回しができる業者は多いですが、クレセント解錠に対応している業者は少ないです。クレセント解錠など様々な手法に精通し、特殊工具を備えている業者だと安心です。鍵屋目線での話ですが、破壊開錠と鍵交換をした方が案件の単価は高くなります。そのためぼったくり業者などはあまり解錠工具を揃えない傾向があります。
- 料金と方針の明確さ: 鍵のプロであれば事前の電話でヒアリングした内容から対応可能か、費用がどのぐらいになりそうか提示することが可能です。「見てみなければわからない」とヒアリングをせずに話を進める業者には注意が必要です。事前の電話の段階で親身になってヒアリングしてくれて、どのぐらいの料金感になるのかきちんと説明してくれる業者が望ましいでしょう。
- クチコミが良い: 「”業者名” クチコミ」で検索をすると、実際に依頼した事があるユーザーの生の声を見る事ができます。良いクチコミが多い業者はある程度信頼できます。鍵屋は似たような名前で店舗展開していることも多いため、クチコミを確認する際は業者名が間違っていないか注意しましょう。
停電復旧後は電気錠のシステム点検や、再発防止のための対策も考える必要があります。場合によってはバックアップ電源や電池式の電子錠への交換も検討すると良いでしょう。いずれにせよ、専門知識を持つ業者に状況を見てもらい、適切なアドバイスを受けることが大切です。
まとめ
落雷や停電で電気錠が使えず家に入れなくなった場合、慌てずに非常用キーの利用を確認し、それでもダメなら早めに鍵のプロに依頼しましょう。防犯性の高い現代の玄関では、窓のクレセント解錠が最も被害を抑える有効策です。幸いカギ本舗ではクレセント解錠を含め様々な開錠方法で対応可能ですので、「壊さない鍵開け」で安心・安全に問題解決いたします。非常時に備えて普段から非常用キーを携行しつつ、万一の際には信頼できる鍵屋へご相談ください。鍵のプロが必ず力になります。
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