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徘徊する認知症家族!鍵屋が考える介護者の心と体を守る徘徊対策

投稿日 2020.08.15
更新日 2022.10.30
徘徊する認知症家族!鍵屋が考える介護者の心と体を守る徘徊対策
【目次】

    認知症の厄介な症状の1つに、徘徊があります。そのまま行方不明になったり事故に巻きこまれたりする可能性もあり、家族の負担も大きくなりがちです。認知症が原因の徘徊を対策方法はいくつかあります。実戦している人もいるでしょう。今回は、徘徊対策を詳しく解説します。補助錠の取り付け等、鍵を通してお困りのご家族様の助けになれば幸いです。

    徘徊とは?なぜ徘徊は起こるのか

    この項では、徘徊が起こる理由や徘徊のリスクを詳しく紹介します。

    徘徊とは?なぜ徘徊は起こるのか

     

    ■何故徘徊は起きるのか

    認知症を発症すると、記憶力や判断力が低下し、自分の居場所が分からなくなってしまうことがあります。そのため、今までスムーズに行けた場所に行けなったり行きたい場所がどこにあるかわかなくなったりして、徘徊が起こるのです。また、自分が今どこにいるか分からなくなると不安が強くなり、徘徊してしまうこともあります。認知症の人は判断力も低下しているので、「迷ったら交番で道を聞く」「地図を調べる」といったことが難しくなり、徘徊に繋がることがあります。認知症の症状の進行度は個人差があり、ある日突然記憶や判断力があやふやになり、徘徊が始まることもあるでしょう。

    また、一度徘徊がはじまると体力の限界まで歩いてしまい、遠くまで行ってしまうこともあります。疲れる感覚や時間に関する感覚が遠のいていたりする事も原因として考えられます。

    なお、「前頭側頭型認知症」という前頭葉や側頭葉が縮んでしまう認知症になった場合、同じ行動を何度もくり返す症状が出ることがあります。この症状として「徘徊」が起こることもあるでしょう。

     

    ■認知症の症状としての徘徊・中核症状と周辺症状

    認知症の症状として表れる症状には、「周辺症状」と「中核症状」に分けられます。
    「中核症状」とは、認知症を発症したすべての人が発症する可能性がある症状です。中核症状が関係して徘徊が起こる場合、認知症患者は記憶が消えてしまう「記憶障害」や、周囲の人や状況、時間、場所などが分からなくなる「見当識障害」が原因で様々な判断が困難になり、徘徊を起こしている可能性があります。中核症状には個人差がありますが、時間と共に症状は進行していきます。

    「周辺症状」とは、「BPSD (Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)」という別名があり、本人の性格、生活環境、体調などによって現れる症状です。どのような症状が出るのかは、認知症にならないと分かりません。例えば、以前毎日家族の送り迎えをしていた人が認知症になった場合では、その記憶が不意に鮮明になり、家族を迎えに行こうとして徘徊してしまうこともあります。子供の頃に住んでいた家の記憶のみが鮮明で、家に帰らせて欲しい訴える方もいます。徘徊のほか、せん妄や抑うつといった症状が現れることもあるでしょう。

    徘徊

    ■徘徊のリスク

    徘徊のリスクはたくさんあります。まず、交通事故や転倒事故などを起こす可能性です。認知症患者は交通ルールも曖昧になっています。横断歩道以外の場所で道を渡ったり、赤信号を無視したりすることも珍しくありません。また、自分で自動車を運転して徘徊をしてしまうこともあり、こうなると歩行者や他の自動車を巻きこんだ大事故に繋がることもあります。このほか、高所からの転落、転倒などのリスクも無視できません。

    もう一つのリスクが行方不明です。徘徊の症状が出た認知症患者は、自分の住所や名前が分からなくなっていることもあります。ですから、電車やバスに乗って遠くに行ってしまった場合、保護されても身元が分からないまま施設や病院に入所となるケースもあるのです。また、遠くまで徘徊してしまった結果、力尽きてしまうこともあります。この際、身元をわかるものを身につけていないと、家族に訃報が伝わらないまま行方不明扱いになってしまうこともあるでしょう。
    認知症の方の中には、一見しっかりとして見える方もいて、街に紛れていてもなかなか見分けられないことがあるのです。「まだらボケ」という言葉もあり、周囲に苦しさを理解されずに家庭内で苦しい立場に置かれている介護者も多々います。

    徘徊は、介護をしている家族にも重い負担となります。認知症患者から少しも目を離すことができなくなり、外に出せと要求する家族に対しての対応も大変です。また、徘徊は時間を問わずに始まります。夜中に徘徊が始まると、介護者は休むことができません。ついには介護者が鬱になったり過労で倒れてしまったりすることもあるでしょう。放っておくこともできず、つきっきりで対応するのも大変な症状、これが徘徊です。

    徘徊の対応と基本方針

    この項では、徘徊の対応について解説します。いろいろな方法がありますが、基本方針は認知症患者を「責めない」ことが重要です。

     

    安心

    ■徘徊の基本方針は、「責めない」「理由の確認」「気をそらせる」「見守る」

    認知症患者は、周りの人を困らせたくて徘徊している訳ではありません。本人には行きたい場所に行くつもりだった。安心できるところに帰るつもりだった、いつもの習慣で行くべき場所に行くところだったという理由があるのです。しかし、記憶力や判断力が低下しているため、どこに行くか分からなくなり、結果的に徘徊となってしまいます。このとき、患者を責めたり怒ったりすると、落ち込んで抑うつなどの症状が出たり、怒りのあまり暴力的な行動に繋がったりします。

     

    認知症患者は、理由なく徘徊することはありません。ですから、まずは理由の確認をしましょう。どこに出かけようとするのかを尋ねてみるだけでも、患者さんは不安が和らいで徘徊を止めることがあります。また、徘徊を止めたい場合は、気を反らせることも重要です。「一緒に散歩をしましょう」「今、家の人が迎えに来ますので、少し待っていてください」など声をかければ、安心するかもしれません。また、安全が確保できる場所で動き回ってもらい、家族は見守るのも徘徊を防ぐ方法の1つです。

     

    ■徘徊の動機別対処法

    徘徊は動機によって対処方を変えましょう。患者が「家に帰る」「子供を迎えに行く」「実家に行く」など言い出したときは、理由を尋ねてください。何か強い不安を持ってるからかもしれません。理由が分かれば、「家族が明日迎えに来る、家に帰る前にお茶を飲みましょう」などと気を反らすことができます。散歩をしたい運動をしたいという場合や、同じコースを何周も歩く場合は、付き添ってあげることも大切です。この際、介護者の負担にならないよう工夫しましょう。患者の気が済めば徘徊が治まることもあります。
    また、万が一行方不明になったときに備え、住んでいる地域の警察に事情を話しておく、迷子札を服に縫い付けるといった対処も重要です。

     

    ■正しい対応を身に付け、悪化を防ぐ

    家に鍵をかけて閉じ込める、靴を隠すなどの対応は認知症の症状を悪化させてしまうだけでなく、介護者への暴力に繋がることもあります。また、介護者を「安心できない人」と認識してしまうと、なおさら「家から出なければ」という思いが強くなり、徘徊が酷くなることもあるでしょう。このほか、無理に外に出ようとして骨折や転倒することもあります。介護者も余裕がない中、認知症患者と根気よく向かい合うのは大変です。ですから、複数人で認知症患者の徘徊に対応するのが理想です。そうすれば、認知症患者も家を「安心できる場所」と認識でき、過度な徘徊が治まることもあります。

    認知症を認識する
     

    ■昼間活動的に動いて、夜ぐっすり寝てもらうことで予防できる場合も多い

    認知症の症状が進むと家に閉じこもりがちになり、運動不足になることもあります。また、昼間寝ていると夜に眠れず、不安が強くなって夜間の徘徊に繋がることもあるでしょう。ですから、昼間に活動的に動くことも大切です。デイサービスなどを利用できるならば、積極的に利用しましょう。夜間徘徊を防ぐことができるだけで、介護者の負担はかなり軽くなります。また、夜間に患者が徘徊しようとしたらすぐに分かるよう、玄関のドアにセンサーライトや補助鍵をつけるなど対処方も必要です。昼間十分に動いていると、鍵が開かないことで徘徊を諦めるケースもあります。

    家族の安全と介護者の睡眠を確保する!徘徊防止鍵

    この項では、認知症患者の徘徊対策に鍵を役立てる方法や使用例などを紹介します。

     

    ■認知症患者は、なぜ夜中に徘徊するのか

    認知症患者は、体内時計を調整する「視交叉上核 (しこうさじょうかく)」 の神経細胞が減少する傾向があります。ですから、体内時計がずれてきて昼夜逆転が起こりやすくなるのです。昼間眠そうにしていたりじっとしたまま動かなかったりするのに、夜になると徘徊をしようと動きはじめるのは、体内時計がずれているかもしれません。また、周囲が暗くなってくると「帰らなければ」という気持ちが強くなることもあります。そのほか、せん妄の症状が夜間に強く出る人の場合、夜になるほど「ここは危ない場所だ」「暗がりに見知らぬ人が見える」といった恐怖感を覚え、それから逃れるために家の外に出て、そのまま徘徊してしまうこともあるでしょう。夜中の徘徊は、どの認知症患者も起こりうる可能性があります。

    体内時計のずれ

    ■鍵が開かない時の戸惑いを家族の言葉でフォローする

    前項までにご紹介した対策をしても、夜間の徘徊を完全に防ぎきることができないこともあります。夜間の徘徊は昼間よりもリスクが高まります。そのため、鍵をかけて徘徊を予防することも重要です。しかし、鍵を閉めていることが分かると不機嫌になったり怒り出したりする認知症患者もいます。そこで、家族が以下のような言葉でフォローしてあげましょう。
    ・鍵が壊れてしまったかもしれないね。明日、鍵屋さんに来てもらおう
    ・鍵を持っている人が外出しています。帰って来るのは明日なので、今日はここに泊まっていかれませんか?
    ・鍵をもっていませんか?なくされましたか?明日は一緒に鍵屋さんにいきましょう。
    認知症患者を否定せず、納得できる理由を告げることが大切です。認知症患者も、「そういう理由なら仕方がない」と気持ちをおさめやすくなります。

     

    ■補助鍵を取り付けるメリットと鍵を取り付ける費用

    夜間の徘徊を防ぐために、有効な手段の1つが「補助鍵」です。鍵の開け方は単純な分、なかなか忘れないものです。特に、日常的に鍵を開け閉めしていた人の場合、鍵を隠しても合鍵を作ってしまうこともあります。認知症患者は新しいことを覚えることが苦手です。ですから、補助鍵をつけると「鍵が増えた」ということを覚えられず、夜間の徘徊を防止することができます。また、「徘徊防止鍵」という名前で、暗証番号式の鍵も販売されています。暗証番号を入力しなければならない鍵ならば、認知症患者は扱いにくく、徘徊を防止することができるでしょう。また、ドアだけでなく窓から抜け出すことも考えて、窓にも補助鍵を付けましょう。

    補助鍵は自分で付けることができます。賃貸物件の場合は大家さんや管理会社に許可を得て行ってください。ただし、無理は禁物です。無理矢理補助鍵を取り付けようとすると窓やドアが破損してしまい、余計に認知症患者が徘徊するリスクが高くなります。自分では無理だと思ったら、鍵を取り付ける専門業者に依頼してください。多くの鍵業者は24時間対応しています。カギ本舗では、簡易補助錠の取り付けを作業費を8000円程から対応しています。鍵本体の値段と合わせた金額でお見積もりすることができますので、ぜひ、ご相談ください。また、鍵に関する相談も承っています。認知症患者の夜間の徘徊防止に補助鍵を取り付けたいがどんな鍵を付けたらいいか迷っているという人からの相談もお待ちしています。

    介護者の負担を減らすため、鍵に関するご相談をお待ちしています

    認知症は誰もが発症する可能性がある病気です。家族とはいえ、介護者の負担は無視できないほど大きなものです。徘徊は認知症の症状の中でもリスクが高く、適切な対応をして防ぐことが大切です。特に、夜間の徘徊防止には窓やドアに補助鍵をつけ、開かないようにすることも効果的です。カギ本舗では介護に使える鍵のご相談を承っています。介護しやすいように鍵の追加や交換に関するご相談もお任せください。

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    藤原 正徳

    カギ本舗で作業員、兼作業員の教育を担当をしている藤原です。 皆さんの鍵のトラブルをいち早く、安心して解決できるよう取り組んでいます。日本ロックセキュリティ協同組合が検定をしている錠施工技師の3級認定技術資格者。

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